雪止めのメリットとデメリットについて
皆さんは自宅の屋根に雪止めを設置しようと考えたことはありますか?
最近では異常気象という言葉が出回っているように、今まで雪が降ったことのないような地域でも、急にドカ雪になることもあり、今や「雪は絶対降らない」という地域は殆ど無いのではないでしょうか。
元々冬に雪が降る北海道等の地域では、家の屋根を「無落雪型」と呼ばれる平の屋根の形にしている所が殆どです。
北海道等の雪国でも、昔は三角屋根の家にして、雪が屋根に積もっても、寒さが緩んだ日には雪が溶け、敢えて屋根に負荷を掛けないようにするため、家の周りに雪を滑り落としていたのですが、都会等の住宅密集地が増えてきたことに伴い、「雪を落とさないで、生活暖房で溶かす」という方法に変わってきたのです。
これは、建築の技術が進歩し、雪の重みに耐えられる屋根になったからこそ発案されたものと言っても良いでしょう。
一方、元々雪の降らない地域の家では、まだまだ三角屋根の家は多く、雪の問題に疎いというのが現状ではないでしょうか。
かと言って、リフォームまでして無落雪型にマイホームを替えることは、多額の費用が掛かります。
なるべく費用もかけず、雪の問題を解決したいという方にこそ、雪止めの方法はお勧めです。
そこで、雪止めを設置するメリット、デメリットをいくつか挙げたいと思います。
メリットの一つ目は、既存の屋根に後付けで設置できるということです。
既存の屋根に取り付ければよいので、価格も安く済むわけです。
とにかく現状の屋根を改修するまでは考えたくないけれど、雪が降ってきた際に落雪を食い止めたいと考える場合は、有難いですね。
二つ目のメリットは雪が落ちないということです。
雪を落とさないので、近所のトラブルや、落雪による事故を防ぐことができます。
雪は一度溶けて固まると、その重量は何倍にもなります。
その重たい氷の塊が頭上から滑り落ちて降ってきたら、軒下に万が一、人がいれば大惨事に繋がります。
現に雪国でも年間を通じて数件、子供が軒下で遊んでいて落雪により下敷きとなり亡くなるという惨事が発生しています。
これが自分の家の屋根の雪で起きるのを防ぐことができるわけです。
また、自分の家の軒下に自家用車を置いていたりすれば、雪がなだれ落ちて来て車が壊れるということを防ぐことができます。
日本は土地面積が狭いこともあり、家と家との間は決して広いわけではありません。
滑り落ちる雪が隣の家の敷地に落ちてしまっては、近所のトラブルに発展してしまいます。また、自宅の所有する土地に車を置くスペースを確保しておいても、なだれ落ちる雪のことを気にして、冬に本来置ける駐車スペースに車を置くことができずに困るということにもなりかねます。
雪止めを設置することで、そういった問題を全て解決してくれるわけです。
しかし、残念ながらデメリットもいくつかあります。
一つ目のデメリットは、雪の重みで屋根に負荷がかかることです。
最近建設したような家であれば、建設技術も高まっていることから、雪の重みにも耐えられるでしょうが、昔に建てた家であれば、そもそも屋根がそこまで頑丈に造られていない可能性もあり、何日も積もって重くなった雪が滑り落ちないため、重みに耐えられなくなって屋根が破損するということもあり得ます。
雪を落とさないメリットが裏目に出た形ですね。
2つ目のデメリットは、錆びるということです。
雪止めは金属でできています。
屋根にどっしりと積もった雪が何日も雪止めによって屋根の上に積もり続けている状況ですから、水気の多い中で雪止めの金属は晒されることとなります。
おまけに、積もった雪の層により、家の生活暖房と外の寒さが触れ合うところとなって結露し、水分と常に触れてしまいますので、錆びやすくなるのです。
雪止めが錆びている状態を放置すると、今度は錆がどんどん進行して屋根にまで至ってしまいます。
屋根が錆びてしまえば思わぬメンテナンスでの出費となってしまうので、注意を要します。
3つ目のデメリットとしては、仮に屋根の雪下ろしをする場合に困難となることです。
基本的に屋根の耐久に心配がなければ、雪は落雪するわけではないのでそこまで気にする必要はないのですが、仮に大量に雪が積もりすぎて、どうしても屋根にから雪を下さなければならなくなった時は大変です。
雪止めが設置されていない屋根の場合は、雪下ろしをする際に、ある程度積もった雪の塊にスコップやつるはし等でヒビを少し入れれば、あとは自重で自然と屋根の下になだれ落ちていきます。
しかし、これが雪止めが設置された屋根になると自重でも滑り落ちていかず、スコップで雪止めに引っかかった部分を削って軒下に雪を落としていかないとなりません。
当然、屋根に積もった雪は溶けて固まる状態を繰り返し、重たい氷の塊となっているでしょうから、屋根からの雪下ろしが重労働となってしまうことでしょう。
雪止めを設置する場合は長所もあれば短所もあります。
雪の問題は近所の家とのトラブルや、時には軒下を歩く人の事故につながることもある大変悩ましいものです。
ご自身の家の屋根の現状や予算、そしてこれまで挙げた長所と短所を考慮して、雪止めの設置を検討するのが大事でしょう。